「ロシア一の富豪」、英国に亡命し反体制派を支援
ミハイル・ホドルコフスキー氏はロシア最大の石油会社・ユコスの社長で、「ロシア一の富豪」でした。ロシア大統領府クレムリンとの対立が深まるのは2000年代前半、プーチン氏が大統領に就任してからのことです。
巨額の脱税に関与したとして突然、逮捕・起訴され、シベリアの刑務所で10年間も過ごすことになります。その間にユコス社は解体され、ロシアの石油企業はルクオイル社やロスネフチ社などに集約されていきます。
シベリアに送られていたホドルコフスキー氏は2013年末、恩赦によって釈放され、ドイツ経由で英国に渡りました。現在は英国で亡命生活を送っています。
罪に問われる直前から続けていたプーチン批判は今もやんでいません。ナワリヌイ氏やネムツォフ氏らを支援してきたほか、現在もロシア国内の反体制派を支えていると言われています。
同じく新興財閥を率い、プーチン氏と激しく対立していたのが、下院議員でもあったボリス・ベレゾフスキー氏です。もともとプーチン氏の有力支持者でしたが、新興財閥の台頭を恐れたプーチン氏はベレゾフスキー氏を抑え込むようになり、両者の関係は決裂しました。
政府系企業の資金疑惑で訴追されそうになったベレゾフスキー氏は英国に亡命しますが、ここで暗殺未遂事件が起きるのです。
2007年6月、ロンドン警視庁はベレゾフスキー氏殺害を企てたとしてロシア人男性の身柄を拘束し、国外追放しました。ベレゾフスキー氏も「プーチンが命じたものだ」と非難します。
その前年には、英国に亡命していた諜報機関の元幹部、アレクセイ・リトビネンコ氏がロンドン中心部の日本料理店で放射性物質ポロニウムを盛られ、死亡する事件が起きています。英国当局は、犯人は元KGB職員だったと特定し、ロシア側に身柄引き渡しを求めるなどの事態に発展しました。