全国に20ある政令指定都市の中でいささか地味な存在の神奈川県相模原市。市は「名前は知ってるけどよく分からない…」という声に応えて「相模原SPECIALITY」というファクトブックを作成した。相模湖をはじめとする豊かな自然、建設中のリニア中央新幹線駅、JAXA相模原キャンパスなど、都市エリアと中山間地域が共生する魅力あふれるまちである。人口は転入超過が続き、2023年は全国11位だった。そんな相模原市がいま力を入れているのが子育て支援と教育環境の充実だ。ジャーナリストの山田稔氏がその一端を現場で取材した。(JBpress編集部)
「転入超過全国11位」、子ども人口も増える恵まれた環境
人口72万人の神奈川県相模原市。戦後に誕生した市(1954年に市制施行)としては初の政令指定都市である。戦後、内陸工業都市として発展し、その技術力は今日ロボット産業や航空宇宙産業にも生かされている。
近年は最先端の物流拠点GLPアルファリンクやアマゾンの物流拠点も進出。JR横浜線、京王相模原線の橋本駅前ではリニア中央新幹線の新駅建設工事が着々と進行中だ。その一方で、自然あふれる中山間地区・藤野には300人もの芸術家が住み、数多くの野外アートが展示され、芸術のまちとしての顔も併せ持つ。
今年1月末に発表された2023年の人口移動報告では、相模原市は約2300人の転入超過で、全国1719市町村で11位と前年の12位から1ランクアップした。
転入超過の年代別内訳を見ると、子ども人口(0―14歳)116人、生産年齢人口(15―64歳)1763人、高齢者人口(65歳以上)443人。5歳年齢別では15―19歳の602人が最多で、次が20―24歳で489人となっている。
若者世代の転入超過が多い背景には、青山学院大の相模原キャンパスをはじめとする複数の大学や、さまざまな工場、物流拠点の存在があるためと思われる。子ども人口も若者人口も転入超過という恵まれた環境にある。