ディープフェイク・ポルノを防ぐにはどうすればいい?

 これはニューヨーク州立大学ビンガムトン校と共同で開発された技術で、ディープフェイク動画を96パーセントの精度で検出可能とのことだ。結果もほぼリアルタイムで返って来るため、たとえば前述のフェイク・ロボコールのような、直接的な詐欺行為への対応にも応用が可能だ。

 こうした技術があれば、Xのようなソーシャルメディアにディープフェイク・ポルノが投稿されようとした際、事前に把握してブロックすることもできるだろう。

 とはいえ、そのような対応をどこまで取るかは、ソーシャルメディアの運営者側にかかっている。中にはXのように、対応に積極的でないプラットフォームもあるだろう。

 彼らに対応を強制するための法律ができればいいが、それにも一定の時間が必要だ。そうこうしているうちにフェイクを開発する側も技術力を上げ、検知ツールを突破するコンテンツを生成しようとするだろう。どこまでいっても、対応は後手になり、犯罪者とのいたちごっこになってしまうと考えられる。

 当面は「#ProtectTaylorSwift」のように、被害者を守ろうという声をあげ続けるしかない。少しでも多くの関心を、少しでも長く維持することが、この問題の対策に注がれるリソースを増やすことになるはずだ。

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【小林 啓倫】
経営コンサルタント。1973年東京都生まれ。獨協大学卒、筑波大学大学院修士課程修了。
システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、米バブソン大学にてMBAを取得。その後コンサルティングファーム、国内ベンチャー企業、大手メーカー等で先端テクノロジーを活用した事業開発に取り組む。著書に『FinTechが変える! 金融×テクノロジーが生み出す新たなビジネス』『ドローン・ビジネスの衝撃』『IoTビジネスモデル革命』(朝日新聞出版)、訳書に『ソーシャル物理学』(草思社)、『データ・アナリティクス3.0』(日経BP)、『情報セキュリティの敗北史』(白揚社)など多数。先端テクノロジーのビジネス活用に関するセミナーも多数手がける。
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