60秒のディープフェイク動画を作るのにかかる時間

 昨今の生成AI技術の進化により、残念ながらフェイクの作成もごく簡単なものになってしまった。

 前述のディープフェイク調査結果によれば、少なくとも現在、約42種類のディープフェイク作成ツールの存在が確認されているとのこと。その3つに1つが、ディープフェイク・ポルノを作成可能な機能を備えているそうだ。

 中にはたった1枚の鮮明な画像さえあれば、25分かからずに、60秒のディープフェイク動画を作成可能なツールも存在しているそうである。

 こうしたテクノロジーの進化が背景にあるのだろう。確認されたディープフェイク・ポルノの件数は、2022年には3725件だったものが、2023年には2万1019件と、6倍近くにまで急増している。

 超大物セレブであるテイラー・スウィフトのディープフェイク・ポルノですら、削除されるまでに17時間もかかった動画がある状況では、これらのフェイクコンテンツのすべてが迅速に削除されることは期待できない。

超大物セレブであるテイラー・スウィフトのディープフェイク・ポルノですら、削除されるまでに17時間もかかった超大物セレブであるテイラー・スウィフトのディープフェイク・ポルノですら、削除されるまでに17時間もかかった(写真:REX/アフロ)

 あらゆるネットコンテンツに言えることだが、一度アップロードされ、公開されたものは、削除してなかったことにするのが非常に難しい。だとすれば、やはりアップロードされる際にチェックし、公開されないようブロックするしかないだろう。

 ある画像や動画がAIによる生成物かどうかを確認する技術については、さまざまな角度から研究がなされ、製品化が進められている。

 たとえば、米インテルは、動画をリアルタイムで分析し、ディープフェイクを検出する「FakeCatcher(フェイクキャッチャー)」というプラットフォームを開発している。