路線バスの窮状を訴える両備グループのラッピング車両。「乗って残そう公共交通」「正念場ッス」といったメッセージを掲示している(写真:山陽新聞/共同通信イメージズ)路線バスの窮状を訴える両備グループのラッピング車両。「乗って残そう公共交通」「正念場ッス」といったメッセージを掲示している(写真:山陽新聞/共同通信イメージズ)
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 守って勝った大将なし――。岡山を拠点に鉄道やバス、フェリーなどの公共交通を担う両備グループの小嶋光信代表が、年頭の辞で打ち出した姿勢だ。運輸交通業界はいま、ドライバー不足に伴うヒト・モノの流れの停滞「2024年問題」への対応が待ったなしの状況にある。そんな中、両備グループが展開しているのが、乗務社員200人を募る大規模採用プロジェクトだ。「宇宙一本気(マジ)」と銘打った、攻めの姿勢しかないこのプロジェクト。大きく出た理由は何か。2024年問題にどんな危機感を抱いているのか。そして、人口減が進む中での地方公共交通の将来をどう描いているのか。プロジェクトを推進する両備グループ・トランスポーテーション&トラベル部門の大上真司・副部門長に聞いた。<#1/全2回>

(聞き手:河合達郎、フリーライター)

2024年問題の解決なしに運輸交通事業者の使命は果たせない

――「宇宙一本気(マジ)」と銘打った採用活動は2023年6月からスタートし、期限とする1年間のうち折り返し地点が過ぎました。プロジェクトの進捗はいかがですか。

両備グループ・トランスポーテーション&トラベル部門 大上真司・副部門長(以下、大上氏):プロジェクト開始から2023年末までに、96人のプロドライバー候補を採用することができました。目標の200人採用に向け、折り返し地点でおよそ50%。オントラックに採用が進んでいるという状況です。

 運輸交通事業者の使命は、大きく四つあると考えています。お客さまとお荷物を安全にお運びするということ、車がちゃんとそろっているということ、乗務社員がちゃんとそろっているということ、お客さまをお迎えするに当たってのホスピタリティがしっかりいるということ。この四つです。

 その観点で考えれば、2024年問題に代表されるこのドライバー不足という課題は、正面から受け止めて解決しにいかなければなりません。この課題を解決しなければ、運輸交通事業者としての使命が果たせないということになってしまいます。その決意と覚悟で、このプロジェクトを推進しています。

両備グループのバスとタクシー。「宇宙一本気な乗務社員採用」とアピールしている(写真:共同通信社)両備グループのバスとタクシー。「宇宙一本気な乗務社員採用」とアピールしている(写真:共同通信社)
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――「宇宙一本気」とは大きく出ました。なぜでしょうか。