- 2023年7月に発売された改良モデルのスバル「アウトバック」で1400kmを走行し、その性能を確かめた。
- スタッドレスタイヤとの相性や最新の「アイサイトX」の性能など、「走る愉しさ」と「安心感」という「スバルらしさ」を再認識した。
- スバルは今後、2030年に向けて電動化を進めていくが、スバルらしさを失わずにいいクルマを作り続けることを期待したい。
(桃田健史:ジャーナリスト)
今年も冬場にスバル車で長距離移動した。
車両は、2023年7月に改良モデルとなった「アウトバック」で、YOKOHAMA(横浜ゴム)のスタッドレスタイヤである「iceGUARD 7(アイスガードセブン)」を装着。時期は2023年クリスマス前の12月後半で、行程は首都圏から東北自動車道などで山形県の日本海側である庄内地方を目指し、帰路では栃木県内を巡ってから都内に戻った。
道中さまざまな取材を重ねたが、一部では雪道での走行もあり、改めて雪道でのスバル車に対する安心感を実感した。また、走行中や取材先で、筆者が行った2023年のスバル関連の各種取材を振り返りながら、スバルという企業の今後について思案しながらの旅となった。
初日はまず、首都圏から首都高速を抜けて東北自動車道を北上した。
乗り心地とハンドリングは、マイルドといった印象だ。これはスタッドレスタイヤのアイスガードセブンの効果が大きい。
アウトバックに限らず、スバル車の走行感は路面からドライバーへのフィードバックが絶妙である点が挙げられる。ここでいうフィードバックとは、タイヤと路面との接地感や、タイヤからサスペンションや車体を通じてドライバーシートやステアリングを伝ってドライバーが捉えるクルマの動きに対する“感触”を指す。
こうしたフィードバックが強過ぎでも、または弱過ぎても、ドライバーは安心して運転することができないし、楽しく運転することもできない。その“塩梅“を調整することが実に難しい。
旧知のエンジニアで、いまはスバルの開発を総括するCTO(チーフ・テクニカル・オフィサー)・取締役専務執行役員の藤貫哲郎氏と2023年秋にあるサーキットで意見交換した際に彼はこう指摘した。
「いまさらだが、ウチのクルマには他社にはない感触(フィードバック)が特に雪上で得られ、それを今後EV(電気自動車)でも実現させることは十分に可能だ」
スバルが企業としていま、電動化に向けて大きく転換する中で、スバルらしいクルマ作りの原点を再認識するための協議をスバル社内の各部署で行っているとも語った。