- トヨタ自動車の「クラウン クロスオーバー RS Advanced」で約1200kmを走り、乗り心地を徹底的に検証した。
- クラウンといえばセダンのイメージが強かったが、16代目でクロスオーバーを含む4つの車系に変貌したことは業界に驚きを与えた。
- 従来のトヨタ車にはない新たなハイブリッドシステムを採用。「メーカー発想」から「お客様目線」のモノづくりに転換した新たな「クラウンらしさ」をレポートする。
(桃田健史:自動車ジャーナリスト)
2023年11月後半、トヨタ自動車の「クラウン クロスオーバー RS Advanced」で、愛知県豊田市、さらに岐阜県岐阜市などを巡った。東京からの走行距離は約1200kmに達するロングドライブだ。
これまでも、クラウン クロスオーバーには何度か試乗している。今回は時間をかけてその走りをじっくりと味わいつつ、豊田市内のトヨタ関連施設も視察して「ブランドとしてのクラウン」について考えた。
平日の夜明け前、クラウン クロスオーバー RS Advanecedに乗り込む。
着座位置がセダンである先代(15代目)クラウンと比べるとかなり高い。かといって、車内から見える風景は多目的スポーツ車(SUV)に乗っているような雰囲気ではなく、まさにセダンとSUVが融合したクロスオーバーという領域のクルマだと感じる。
パワートレインは、このモデルからトヨタが採用した「2.4Lターボデュアルブーストハイブリッドシステム」。なんとも長いネーミングだが、技術要素としては、FF(前輪駆動車)をベースに、フロントに2.4Lターボ、モーター、そして6速オートマチックトランスミッションを搭載した、いわゆるパラレルハイブリッド方式だ。トヨタとしてはこれまで採用してこなかったハイブリッドシステムである。
トヨタのハイブリッドシステムといえば、プリウスから実用化が始まったシリーズパラレル方式のTHS(トヨタハイブリッドシステム)がある。RS以外のモデルでは、最新THSを搭載する2.5Lハイブリッド車となっている。
RSでは、2.4Lのパラレルハイブリッドシステムに加えて、トヨタが「e-アクスル」と呼ぶモーター・インバーター・バッテリーの電動ユニットで後輪を駆動する。
こうした前後の駆動システムによって、通常走行時はFF、加速時やコーナーリング時にはE-Four(電気式4WD)として走行する仕組みだ。
では、実際の走り味はどう感じるのか?