ジャパンモビリティショーでのホンダブース。コンセプトは、Honda DREAM Loop(写真:桃田健史)
  • ホンダは先日開催された「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」で、自動運転車や空飛ぶクルマなどさまざまなモビリティを出展した。
  • 技術陣の独創的な発想による研究開発を許容してきたホンダの真骨頂だが、新しい発想のマネタイズが得意ではないとの弱点もある。
  • かつてクルマの環境技術で世界を驚かせた「シビック」に乗って、ホンダの未来を考える。

(桃田健史:自動車ジャーナリスト)

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 自動車産業大変革期の今、本田技研工業(以下、ホンダ)という企業はこれからどんな道を歩んでいくのだろうか──。そんなことを考えながら、ホンダ青山本社を起点に「シビック」で走り出した。

 最新型シビックにはこれまでも何度か試乗しているが、今回はホンダ独自のハイブリッド制御システム「e:HEV」の実感を再確認するために3日間、関東周辺を約300km走行した。

 試乗期間中に複数の知人から「えっ!? これが今のシビックなの?」と驚かれた。

 それほどまでに、最新型シビックは一般的になじみが薄い。シビックが大衆車の代名詞だった頃とは日本の自動車市場の様子を大きく変わったからだ。

試乗したホンダ「シビック」(写真:桃田健史)

 時計の針を少し戻すと、排気ガス規制の厳しさが一気に増した1970年代、シビックが搭載したCVCC(複合渦流調速燃焼方式)は、日本はもとよりアメリカでも次世代の環境対応技術として注目され、ホンダは販売を大きく伸ばして四輪ブランドの礎を築いた。自動車の環境対応技術を世界に先駆けてマネタイズしたといえる。

 その後も、シビックはVTEC(可変バブルタイミング・リフト機構)などホンダらしいエンジン技術を搭載したり、独自性の強いデザインを採用したりすることによって、トヨタ自動車や日産自動車とはひと味違う大衆車という商品としての立ち位置を日米で確立したといえよう。

 だが、2000年代半ば以降になると、シビックにかかわる周囲の市場環境に変化が生じる。シビックが北米市場を中心としたグローバルカーとしての商品性が強調されたことで、ミニバンや軽自動車の普及が進む日本市場では徐々に目立たない存在になっていく。

 そうした中、日本市場でのシビック販売台数は低迷することになる。2010年に日本から撤退。代替わりして2017年に復活するも販売は伸びず、2020年に再び日本から撤退せざるを得ない状況となった。

 そして2021年に11代目となったシビックのうち、ハッチバックが同年9月に再度復活し、現行車としては2022年にハイブリッドシステムe:HEVと、スポーティモデルのタイプRが登場した。

 このように、シビックは日本市場に何度も出たり入ったりを繰り返したことで、一般ユーザーはシビックの進化を継続的に追うことが難しかった。そのため、「えっ!? これが今のシビック?」との驚きの声が出るのだろう。