- スズキの新型「スペーシア」を富士山をバックに試乗した。
- 「走る・曲がる・止まる」というクルマの基本性能の改善は言うまでもなく、軽ハイトワゴン最大の魅力である「我が家の部屋がそのまま動く」イメージが磨かれている。
- ミリ単位で室内空間の広さを追求したほか、使い勝手もより快適になった。背景には、徹底したデータ活用と顧客の声を拾い上げる、スズキらしさがある。
(桃田健史:ジャーナリスト)
スズキは2023年11月9日、軽ハイトワゴン「スペーシア」と「スペーシア カスタム」をフルモデルチェンジした。それに伴う公道試乗会が同月末、山梨県内で実施され、富士山をバックに中央高速道や一般道を走った。
全般的には、多くの人にとっての「生活の一部」として「より使いやすくなった」と思う。技術的には、電動パーキングブレーキ、ブレーキホールド、そしてステアリングヒーターがスズキの軽で初めて採用された。そうした新たな装備に加えて、インパネ周りのデザインやレイアウトが見直されたことで操作感がスムーズになった。
また、シフト操作の際、「前進します」「バックします」といった運転サポート音声があることも、いい改良点だと感じる。近年、アクセルとブレーキの踏み間違いが大きな社会課題となっている。それを防止することに直接つながるからだ。
ハンドリングや乗り心地は、スペーシアではゆったりした気分による安心感を得られる。またスポーティなデザインのスペーシアカスタムでは、装着するタイヤの違いからクルマ全体の動きにキビキビとした機動性が増すのが分かる。
こうした「走る・曲がる・止まる」というクルマの基本性能が重要であることは当然ながら、軽ハイトワゴンの魅力として「我が家の部屋がそのまま動く」ようなイメージを求めるユーザーが少なくない。
桃田 健史(ももた・けんじ)
日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなどのレースにレーサーとしても参戦。ビジネス誌や自動車雑誌での執筆のほか、テレビでレース中継番組の解説なども務める。著書に『エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?』『グーグル、アップルが自動車産業を乗っとる日』など。