育児休業中の収入確保は切実な問題だが…写真はイメージ(写真:umaruchan4678/Shutterstock.com) 

育児休業給付の延長を狙って、落選狙いで保育園の入園申請をする人が増加している。その結果、当選しても通園する気のない人が申し込むことで、倍率が高くなるという問題も発生している。厚労省は厳格化の方向で動くようだが、果たして解決するのだろうか。

(杉原 健治:フリーライター)

「保育園落選狙い」の保護者の実情とは

 育児休業給付金を延長して取得できるよう、あえて倍率の高い保育園へ申し込んで落選する「保育園落選狙い」が話題となっている。

 保育園の倍率が必要以上に高くなってしまうことや、本当に保育園へ入園させたい家庭の妨げになる点を厚労省が問題視。今まで育休延長のために提出していた「不承諾通知書」(保育園へ入園できなかったことを証明する書類。自治体によって名称が異なる)のほかに、本当に入園させたいのか意思を明確にする「申告書」の提出を求める方針を打ち出した。

 育児給付金は、育休取得時から子供の1歳の誕生日前まで一定の手当がもらえる制度だ。育休取得時~180日目までは給与の67%、181日目~誕生月までは給与の50%が支給される。

 いずれも上限・下限額はあるが、夫婦揃って育休が取得できれば2人とも申請が可能。さらに一定の条件を満たせば1歳半、もしくは2歳まで延長ができる。つまり延長した期間は育児給付金制度を継続して利用できるということだ。

 ここで問題の要因となっているのが、延長の条件。延長するためには「保育園に落選した場合」という条件が必須となる。

 ただし、保育園といっても無認可保育施設は対象外で、認可保育園オンリー。さらに子供の誕生日の前々日までに保育園への入園申し込みが完了済みでないと認められない。延長して給付金を受けたい保護者は「保育園へ申し込みはするが、落ちなければならない」のだ。「保育園落選狙い」はこうした条件によって生まれている。

少子化問題の解決は日本の課題(写真:maroke/Shutterstock.com)