金利以外のサービスでお得な住宅ローンも多い(写真:takasu/イメージマート)

 2025年1月、日本銀行が政策金利である短期金利の引き上げを行い、今後も年内にさらに引き上げがあるのではないかと言われている。その影響で住宅ローンの金利上昇も本格化しそうだが、利用に当たっては金利だけではなく、その他の付加価値やサービス部分にも注目しておきたい。住宅ジャーナリストの山下和之氏が、今こそ知っておきたいお得な住宅ローンについてレポートする。

金利上昇傾向でも「変動型」の住宅ローン利用者が多いワケ

 住宅ローン金利の上昇が本格化しそうな情勢を受けて、消費者の金利タイプ選びにも変化が生じつつあるようだ。

 住宅金融支援機構が2024年10月に、実際に住宅ローンを利用してマイホームを取得した人を対象に実施した調査では、「変動型」の利用者が77.4%で、「固定期間選択型」が13.5%、「全期間固定型」が9.0%だった。

 2024年10月といえば、そろそろ金利上昇が始まるのではないかという機運が高まってきたころだが、それでも8割近い人が「変動型」を利用しているわけだ。

 実際の金利をみると、変動金利型は主要銀行では0.3%台から0.6%台で利用できるのに対し、固定金利期間選択型の10年固定は1%台の後半、返済期間35年の全期間固定金利型は2%前後が中心だ。

 借入額5000万円、35年元利均等・ボーナス返済なしの毎月返済額は金利0.4%では12万7595円だが、金利2.0%では16万5631円となる。月額3万8036円、年間にして45万円以上の違いになるのだから、低金利の変動金利型を選びたくなるのも自然の流れだろう。

 しかし、周知のように変動金利型には借入後に市中の金利が上がると、適用金利が上昇し、返済額が増えるというリスクがある。当初5年間の返済額は変わらないものの、5年後には最高では25%返済額が増える可能性がある。

 しかも、当初の予定より元金の減り方が遅くなるというデメリットもあるので、金利上昇が本格化するときには、あまりお勧めできる金利タイプではない。そのため、住宅購入希望者の考え方に変化が生じつつあるようだ。

 不動産・住宅情報サービスの「LIFULL HOME’S」が2025年1月に発表した『住宅ローンに関する意識調査』によると、すでに住宅ローンを利用している人では「変動金利」の利用者が69.7%いたが、今後利用の予定がある人で「変動金利」を検討したいと答えた人は57.3%と12.4ポイント少なくなっている。代わって、「固定金利(全期間固定型)」「固定金利(期間選択型)」の割合が高くなっている。

 住宅ローンの返済は20年、30年と長期にわたって続くものなので、できるだけリスクは避けた方がいいという思いが強くなっているのではないか。

 住宅ローンの金利上昇期には、金利動向に敏感になり、できるだけリスクの小さいローンを利用するのが安心だが、そうなると金利が高めにならざるを得ない。それだけに、金利以外の付加価値部分に注目し、少しでも得できるローンを選ぶことが重要になってくる。では、実際にどんなローンがあるのか――。