2人に1人が受給しているという奨学金(日本学生支援機構の調査より)──。教育費が高騰し、親世代の手取りも増えない日本で奨学金に頼る状況が一般化している。国内ほぼ全て(1万6000件以上)の奨学金情報を検索で探し出せるサービスを提供しているスタートアップ、ガクシー創業者でCEO(最高経営責任者)の松原良輔氏に、奨学金の現状を聞いた。
(湯浅大輝:フリージャーナリスト)
夢を持てない今の学生たち
──ガクシーは奨学金検索サイトを運営し、「奨学金の情報格差」を埋める事業をしています。たくさんの情報が集まってくると思いますが、現在の学生を取り巻く経済的な状況をどのように分析していますか。
松原良輔氏(以下、敬称略):2人に1人という数字は返済しなくていい給付型の奨学金が含まれていますから、貸与型、つまり返済しなければならない奨学金を借りている学生は(全学生のうち)30〜40%と推計されます。
貸与型はいわば「借金」で、こうした奨学金に頼らざるを得ない状況の学生は、大人が想像するよりはるかに厳しい生活を送っており、学生らしい「夢」すら持てないような人も少なくありません。
奨学金といえば聞こえはいいですが、例えばJASSO(日本学生支援機構)が貸与する奨学金のうち、第二種と呼ばれる奨学金は上限3%の金利が付き、連帯保証人か機関保証が必要なまさに「借金」です。返済できなければ自己破産するしかありません。
2017年に日本でも給付型の奨学金がスタートしましたが、受け取れる条件が世帯年収約461万円未満で、大多数を占める中間層は対象になりません。
まして、現在は学生の親世代も税・社会保険料の負担が年々重くなっていますし、教育費も高騰しています。こうした状況に置かれている現在の学生は「(親に負担をかけないように)大学を早く卒業して、安定した職を得て、奨学金を返さないと」というプレッシャーを感じています。
──今の学生はとても現実的、ということでしょうか。