お金を次の世代に回す仕組みを

松原:給付型奨学金を増やすことと、日本国内で「ダブついている」お金を教育費に回すことが重要だとガクシーは考えています。

 現在、日本の高等教育(高校・大学)の授業料の総額は16兆円ほどと言われています。うち、奨学金が占めるのは1.6兆〜1.7兆円。約10%を奨学金が占めているのです。

 財源の問題から、この16兆円すべてを政府がカバーするのは無理でしょう。しかし、日本国内にはダブついているお金が民間にあります。タンス預金がその代表例ですし、遺贈市場は20兆円ほどあるのです。

 こうしたお金の持ち主は高齢者の方々がメインですが、彼ら/彼女たちと話していると「これからの若い人に譲りたい」と考える人も多いのです。そこでガクシーは三菱UFJ信託銀行と協業し、日本で初めての給付型奨学金ファンド「サステナブル奨学金」の組成を検討しています。

 企業だけではなく、こうした個人からの寄付金や拠出金を三菱UFJ信託銀行が運用し、運用益を資金提供者の希望に基づいてガクシーを通じて学生に奨学金として支給する、という仕組みです。

(出所:ガクシーのプレスリリースより)
拡大画像表示

 これまでは、基本的に遺贈の対象は、日本赤十字社などをはじめとした団体への寄付が中心で、若者に寄付する形はありませんでした。経済的な理由で将来不安を抱える若者を少しでも減らしたいと考える高齢者・お金持ちのニーズは確実に存在するので、サステナブル奨学金がその一助になれば良いなと願っています。