サウジアラビアで開催された国際投資会議にムハンマド皇太子と並んで出席した尹錫悦大統領(10月24日、提供:Saudi Press Agency/ロイター/アフロ)

 2023年10月26日、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル=1960年生)大統領は、サウジアラビアなどへの4泊6日の国賓訪問を終えて帰国した。

 100人以上の企業人が同行した。

 成果を伝えるこの日の朝刊各紙にかつて「中東ブーム」で急成長した後に没落した財閥総帥の死亡記事がひっそりと載っていた。

「いったいどうしていまの時期になったのか?」

「パートナーが日本から韓国に」

 韓国の産業界でも、今回の大統領の外遊のタイミングに驚く声は少なくなかった。

 世界中がイスラエルとイスラム組織ハマスとの衝突に注目する中で、韓国の大統領がサウジアラビアを「セールス外交」のために訪問したのだ。

「ビンサルマンのパートナー、日本から韓国に」

 10月26日付の「朝鮮日報」の1面トップの見出しだ。

 サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が10月24日に尹錫悦大統領の宿泊先を訪ね、自分が運転する車の助手席に大統領を乗せて次の行事会場まで連れて行ったことなどを引き合いに、両者の関係が緊密化したということを強調した記事だった。

 尹錫悦大統領とムハンマド皇太子は、両国関係を未来志向的な戦略同伴者関係に発展させるという共同声明を発表した。

 両国が共同声明を出すのは1980年以来だという。

「この時期」に国賓訪問をする重要な意味が両国にとってあったということだろうか。

 同紙は、前の日には、ムハンマド皇太子が尹錫悦大統領を乗せて運転している写真を1面に大きく掲載している。

 破格ともいえる報道ぶりだ。もちろん、実務的な成果もあった。