ソウル市(写真)に周辺の市を吸収させて巨大化させようという構想が持ち上がっている

 2025年1月1日に(ソウル近郊の)金浦(キンポ)市をソウル市に編入する――。

 2023年11月16日、韓国の与党代表などが、こんな内容の議員立法案を発議した。

 野党が多数を占める国会で法案が通過する可能性は低いが、総選挙を5か月後に控え、ソウル周辺の自治体の住民の間では大きな関心事として急浮上してきた。

 金浦市って、あの空港の金浦市?

 今回、話題の中心になった金浦市は、日本人にとってもなじみが深い金浦国際空港の名前の由来の都市だ。

金浦空港の大半はソウル市内

 ソウル西部にあるが、2022年に2452万人が利用した金浦空港が行政区域上、金浦市にあるとは言えない。

 韓国メディアによると、金浦空港全体のうち86%がソウル市江西(カンソ)区に属する。

 国際線、国内線、貨物ターミナルや地下鉄駅などもすべて江西区にある。8%は仁川(インチョン)市、5%弱が富川(プチョン)市にある。

 名前は金浦空港だが、金浦市にあるのは0.02%だけだという。

 金浦空港が国際空港として指定を受けた1960年前後に、今の空港一帯は「金浦郡」だった。

 空港名の由来でもあるが、その後、金浦郡の一部がソウルに編入され、大半がソウル市江西区になった。

 金浦郡は1998年に市になった。この間も、空港の名前はそのまま残ったのだ。

 ちなみに「ソウル空港」という空軍の空港もあるが、こちらはソウル市にはなく、京畿道(キョンギド)城南(ソンナム)市にある。

 金浦市も京畿道に属する。一部地域がソウルに編入された経緯から、市の形をみると、ソウルと接する地域が狭く、ソウルから見れば奥に広がっている。

 ソウルの西部で、漢江(ハンガン)の南部、東にソウルと高陽(コヤン)市、南に仁川市という位置にある。

 金浦市はソウル市に隣接している自治体の一つだ。人口は約50万人で、ここ数年は、大規模アパートの建設が続いている。