きれいな街は、自分がポイ捨てやめるところから(写真:アフロ)

(立花 志音:在韓ライター)

「ママ、寒ーい。明日はもっとあったかいジャンパーを着なくちゃ」

 10月になり、連休明けの韓国は一気に気温が下がった。韓国では本来、旧暦の8月15日が「秋夕(チュソク)」と呼ばれる一番大きな名節だった。家族みんなが集まって祭事をする日で、ソウルに住んでいる人が一斉に田舎に帰る民族大移動の日でもある。

 筆者が韓国に来た20年前は、秋夕前日からの3日間は国全体が休みで、買い物も外食もできなかった。

 旧正月の時期も同様で、韓国の観光ガイドには「この時期に来てもお店はほとんど開いてませんよ」という注意書きまであった。

 しかし、そんな伝統はいつしか消えつつあり、連休中は海外旅行に行く人も増えた。特に、今年のチュソクは陽暦の9月28日で週末にかかる、そのうえ10月3日の火曜日は「開天日」という神話上の建国記念日である。

 チュソクの連休の何日か前に、突然「今年の10月2日は公休日になりました」というプリントが学校から配布され、「えっ!今年は6連休なの?」と驚く筆者であった。

 筆者の夫は自営業で、カレンダーの休日とは関係のない生活をしている。むしろ休日は忙しい派だ。
 
 我が家は義父が6人きょうだいの4男で祭事の必要がなかったため、義父母は自分たちの代から祭事をやめた。自分たちは本家に祭事に行くが、筆者の代には降ろさず、「好きにしろ」と言ってくれている。

 祭事はしないが、家族はみんな集まる。夫の弟夫婦はソウルに住んでいるが、旧正月、義父母の誕生日、秋夕、真冬の前のキムチ漬けと年に4回か5回は帰ってくる。核家族化はおろか、結婚さえしなくなっている現代の韓国では、マイナーになりつつある家族形態である。

 この6連休中に筆者が韓国人たちのSNSで見たものは、もはや「安定の」と言えよう、日本旅行に行く姿だった。もう今さら驚くことはない。その中でも筆者が注目したのは、韓国人たちの日本旅行中の感想である。