9月23日、杭州アジア大会の開会式で国旗を振る中国の選手や関係者たち(写真:AP/アフロ)

一般客はゼロ、共産党幹部や関係者・来賓で埋め尽くされたスタジアム

 9月23日、秋分の日の中国時間の午後8時(日本時間午後9時)、史上最も豪華絢爛な第19回アジア大会の開会式が、浙江省の省都・杭州の「オリンピック・スポーツセンター・スタジアム」で開かれた。中国でアジア大会が開かれるのは、1990年の北京、2010年の広州に続いて3回目だ。

 習近平主席にとって杭州は、2002年から2007年まで共産党委員会書記として君臨した「思い出の地」であり、いま再び、自らスタジアムに乗り込んで、錦を飾ったのである。習主席は、2016年9月のG20(主要国・地域)サミットの開催地にも、杭州を選んでいる。

 私は2時間10分にわたる開会式の模様を、CCTV(中国中央広播電視総台)のインターネットTVで、生中継で観た。開会式のテーマは、「起き上がるアジアの潮流」で、杭州らしく全編「水」をモチーフにした演出だった。

 ちなみに観客席は満員だが、一般市民はゼロ。すべて共産党幹部や大会関係者、海外からの来賓たちで埋め尽くされた。

 中国人が好きな「8」の時報が鳴ると、CCTVの画面は、いきなりドアップで習近平主席の姿を映した。習主席は、いつものむっつりした無表情のまま、右手を振って観衆の声援に応える。

 グラウンドの中央では、中国太鼓を抱えた青年たちがリズムを打ち鳴らし、「10、9、8……」とカウントダウンが始まった。「0」まで来ると、古代中国の神話に描かれた大鵬(おおとり)が、大空に飛び立つ映像が流れた。