- 中国の習近平政権内部で、再び重要人物の動静が途絶えている。国防相の李尚福だ。軍内部の汚職に関与したとの噂がある。
- すでに美人キャスターとの不倫が噂されていた外相の秦剛が解任されており、政権の中枢にいた幹部の相次ぐ「失脚」は文化大革命以来の異常事態だ。
- 解放軍の不安定化は台湾有事のきっかけになりかねないだけに、習近平政権内部の混乱をこれまで以上に注視していく必要がある。
(福島 香織:ジャーナリスト)
中国の国防部長(国防相)、李尚福の動静が途絶えてもう3週間がたっている。7月に外交部長(外相)の秦剛が1カ月の動静不明後、突如外相職を解任されたように李尚福も国防相職を解任されるのだろうか*1。7月末にも、解放軍ロケット軍司令の李玉超と政治委員の徐忠波がそろって解任されていた*2。こうした動きについて、チャイナウォッチャーたちは、解放軍内でとてつもない粛清が起きている、と見ている。
*1:消えた中国外相・秦剛、不倫相手と噂される美人キャスターはダブルスパイ?(7月21日付、JBpress)
*2:秦剛は監獄に?習近平「大粛清時代」の幕開け、ロケット軍でもスパイ探しか(7月28日付、JBpress)
李尚福は今年3月の全人代で国防相、国務委員に抜擢された。8月29日に中国アフリカ平和安全フォーラムで演説して以降、その動静は途絶えている。これは外相で国務委員だった秦剛が6月にその動静が突然途絶えたのと様子が似ている。ちなみに秦剛が外相を解任された理由が「生活作風」(生活態度)であることが、党内ですでに通達されたようだ。米ウォールストリート・ジャーナルが、党内関係筋の話として報じていた*3。
*3:中国前外相、不倫で解任=関係筋(9月19日付、米ウォールストリート・ジャーナル)
秦剛は不倫し、その相手が米国で子供を産んだことで国家安全に影響を与える可能性があるとして、外相を解任されたという。多くの人たちが、秦剛の「スパイ容疑」を想定していたので、意外に「軽い罪」ではある。
だが、文革が終わって改革開放が始まって以来の45年の間、閣僚級の党幹部が相次いで姿を消すのは極めて珍しく、尋常ではない。