中国の習近平国家主席は9月9日からインドで開催されるG20を欠席する(写真:AP/アフロ)
  • 中国の習近平国家主席が、9月9〜10日にインドの首都ニューデリーで開催される20カ国・地域(G20)首脳会議を欠席することが明らかとなった。
  • このところ「引きこもり」がちだが、プーチン大統領という「お友達」が欠席するから自分も出たくない、という子どもじみた理由まで噂されている。
  • 理由はともあれ、外交に安心して取り組めないほど内政リスクが高まっている状況を映し出している。

(福島香織:ジャーナリスト)

 中国の習近平国家主席が20カ国・地域(G20)首脳会議に出席せず、代わりに李強首相が出席することになった。この理由は公式には明らかにされていない。G20に国家主席が出席しないのは2008年の第1回目以降初めてで、明らかにおかしいと、チャイナウォッチャーたちの間ではいろいろな憶測が飛び交っている。

 G20首脳会議とは、先進国で構成される主要7カ国(G7)に新興国などを加えた20の国・地域の首脳らが一堂に会する年に1回の会合だ(半年に1回だった期間もある)。G20サミットは2008年のリーマン・ショックへの経済・金融危機への対処のために同年11月に第1回会合が開催された。G7メンバーではない中国は、先進国と対等に議論に参加できるG20こそが世界を動かすものだとして重視し、国家主席は第2回会合から欠かさず参加してきた。

 習近平はコロナ前までは歴代国家主席に比べて外遊が多く、国際社会のリーダーの座を米国にとって代わろうとする野心を隠さなかった。第3期目の政権がスタートした直後も習近平は「平和の使者」外交を打ち出し、2022年11月のバリで開催されたG20の場外でバイデン米大統領と初の対面会談を行った。この時は米中緊張緩和のサインが出されたとしてニュースになった。

 蓋をあけてみれば2023年以降も米中緊張は緩和どころか先鋭化してしまった。あれから1年後のインド・ニューデリーのG20サミット場外では、習近平がバイデンと再度会談して、米中関係を仕切り直すという期待もあった。だが、中国は9月4日、G20サミットに李強が出席することをアナウンスした。つまり習近平はG20に出席しないことが判明した。

 この理由については、チャイナウォッチャーたちは主に4つの見方をあげている。順を追って見ていこう。