空き家を移住の呼び水にする入居条件
空き家を移住者の呼び水にするために、入居者は市外から移り住む予定の人や、市へ移り住んで3年以内の人に限定する。移住創業を考えている人には、飲食店なら人通りの多い地区など、事業内容に合った場所の空き家を勧める。
移住後のサポートも欠かさない。
チームまちやのメンバーが、自治会や近隣住民にあいさつ回りに付き添う。ごみの出し方などを気軽に聞ける近所の人を紹介するなどして、暮らしやすくなるよう気遣う。
近隣の住民も、チームまちやが介在することで、安心して移住者を受け入れられる。
空き家でお試し移住
ただ、個人にとって移住は人生の一大事であり、移住の覚悟を決めきれずに悩む人もいる。そうした人のために、チームまちやは「お試し町家」を始めた。
移住検討者に1~3カ月程度、空き家を貸し出すものである。家具も一式備え付けてあるので、希望者は自分の布団さえ持ち込めば済む。戻る場所があれば、気楽に移住を試すことができる。
お試し町家の車庫はチャレンジショップの場として提供している。人通りの多い場所にあるので、仮店舗を開いて客の反応を確かめながら、事業の構想を練ることができる。
梶田香里さんは、お試し町家を利用した後に、愛知県から移住してカフェ「Harmonyほとり」を創業した。
チャレンジショップでは、近隣の店の主人に、商売の繁閑や家賃の相場を聞いて様子を探り、その後の創業準備に生かすことができた。
空き家を活用するには、資金面のサポートだけでは十分ではない。所有者に安心して運用を任せてもらう仕組みをつくること、入居者に寄り添い定住につなげることで、空き家は地域の財産にもなり得る。