子どもが小学生なら抱きしめてあげよう

──2学期の始業式の日に学校に行けるようにするには、夏休みをどのように過ごしたら良いのでしょうか。

石井:やはり子どもに夏休みを楽しんでもらうことが一番大事なのではないでしょうか。子どもを自由にさせすぎると、休み癖がつくとか、遊び癖がつくとか心配される親御さんもいますが、私の経験ではあまり関係がないように思います。むしろ、あまり縛りつけずに、子どもの話を聞いてあげたり、子どもが作った作品を見てあげたり、一緒に過ごす時間が長い分、子どもをよく見てあげるのが良いと思います。

 時間があるので宿題や習い事などの「インプット」を増やしがちですが、それだけではなく、見たこと・聞いたこと・学んだことを「アウトプット」する機会を増やしてあげてください。アウトプットは知識などの定着にもつながりますし、何より子どもの自己肯定感が高まります。子どもは、親が思っている以上に親を見ています。親に認められたい、見てもらいたい、と思っているものですよ。

──ただ、親は短い夏休みを除けばいつも通りに仕事をしています。忙しくて、どうしても子どもの「見て見て」という思いに十分応えられない場合も多いのではないでしょうか。

石井:毎回応えてあげるのは大変ですし、現実的でもありません。それでも、人格がまだ出来上がっていない小学生の子どもには、存在を承認してあげることが極めて重要です。学校に行けなくなるほどのストレスを抱えている子どもは、「自分はこの世に存在していいのだろうか」と自分を肯定できなくなっている場合もあります。

 私は不登校の子どもや親、学校の様子を20年以上取材していますが、子どもを取り巻く環境はどんどんストレスフルになっています。それは親御さんの想像以上です。まずは子どもを肯定し、認める、守るという姿勢を示すのが重要でしょう。特に小学生には抱きしめてあげることも絶大な効果があります。