2学期、恐怖を感じて体が動かなくなる

──なぜ、気がつかないのでしょうか。

石井:不登校の子どもに対する学校の無理解は以前から指摘されてきた問題です。自分が受け持つクラスにいじめがあることを上司に報告できる先生はなかなかいません。小学校低学年の子どもは無邪気なので、いじめられたと思うと先生に報告する場合も多いのですが、結局事態が改善されなく無力感を覚えてしまう生徒も目立ちます。

 先生が原因で不登校になるケースも少なくありません。埼玉県のある小学校では、授業中にマスクがずれた回数を黒板に書き、10回たまったら宿題を10倍出す、という異常な事例も報告されました。また、不登校の子どもがいると基本的には学校は戻そうとしてしまいますが、かえって事態を悪化させてしまうケースもあります。

──そうした中、なぜ2学期は不登校が急増するのでしょうか。

石井:1学期は心機一転、新たな環境で頑張ろう、冬休み明けの3学期はあと少しの辛抱、という気持ちで登校できます。しかし2学期は、何らかの問題を抱えている子どもにとって、「あと半年以上も通わなければいけないのか…」と、恐怖心が強く出てしまう時期だからです。

子どもはさまざまなストレスを抱えている(写真:アフロ)

 子どもは決して軽い気持ちで「学校に行くのをやめた」と考えているのではありません。子どもは子どもなりに、すごく頑張って、学校という社会に適応しようとしています。その根底には、親にほめられたい、認められたい、という気持ちがあります。こうした心の働きは大人からは見えにくいものです。

 学校に通えなくなるということは、心に大きなダメージを負っているということです。何らかの出来事がトラウマや恐怖心となり、学校に行こうとしても体が動かなくなってしまうのです。そうした心の動きが最もよく見られるのが2学期のタイミングなのです。