大雨による線路被害で、青森県津軽半島を走るJR津軽線の一部区間が不通になって1年が過ぎようとしている。工事を行って復旧させるのか、それとも廃止するのか、その結論はまだ出ていない。不通区間がどのようになっているか、全駅の写真とともに、現在の様子をお伝えする。(JBpress)
(牧村あきこ:土木フォトライター)
2022年8月、北陸・東北地方を中心とした豪雨があり、JR東日本の津軽線も、路盤や盛土の流出、土砂流入などの大きな被害を受けた。次の写真は、数日後にJR東日本から発表された津軽線の被災現場である。
津軽線の蟹田から三厩(みんまや)までが運休となり、現在も復旧の具体的な見通しは立っていない。
津軽線は青森から陸奥湾に沿って津軽半島を北上、蟹田から内陸に入り、今別で津軽海峡側に出たあと、三厩に至るJRのローカル線だ。三厩の少し先には津軽半島最北端の龍飛崎(たっぴざき)がある。また、新青森から青函トンネルを経て新函館北斗まで続く北海道新幹線が近くを並行して走っている。
2022年の大雨被害を受けたのは津軽線の北部で、8月3日に2カ所が被災。復旧には10日間前後見込まれるとアナウンスがあった。
ところが、それから数日後の8月9日に、2度目の大雨が降った。特に被害が集中したのが、大平(おおだい)と津軽二股の駅間で、12カ所もの盛土流出や土砂流入などがあった(前掲写真)。
この2度の大雨により、津軽線の蟹田から三厩までの区間は、復旧のめどが立たない状況に陥った。JR東日本が8月19日に発表した文書には、代行バスやデマンド型乗り合いタクシーの詳細情報も掲載されるなど、運休の長期化が予想されるものだった。