(写真はすべて牧村あきこ)

(牧村あきこ:土木フォトライター)

「魚道」(ぎょどう)という言葉を聞いたことがあるだろうか。

 堰(せき)やダムなどで堰き止められた川を、魚たちが行き来きできるようにした専用の道を「魚道」という。

 アユやヤマメなど主に産卵のために川をさかのぼる魚は、川の中に人が造った段差のある人工物があると、そこより上流に行くことができない。そんな困っている魚たちのために、 緩やかな傾斜の小さな水路を作り、そこを通って魚が上流に行けるようにする仕組みが魚道だ。

 魚道は日本全国にあるが、その中でも最大規模と言えるものが東京の奥多摩にある。内部見学もできる白丸調整池ダム(白丸ダム)の魚道は、実用性とエンターテインメント性を兼ね備えた施設なのだ。

※記事末に見学コースを撮した動画があります

 なにしろ、魚道を見学するための入口がすごい。このらせん階段を下りて地下にある魚道施設に向かうのである。階段を下りるにつれ、ゴーゴーという水音が大きくなってくる。

 らせん階段を下りて、下から見上げる光景はなんとも壮観だ。縦穴の深さは20m以上はあるだろうか。この階段は下り専用で、帰りは別ルートを通る。