(写真はすべて牧村あきこ)
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(牧村あきこ:土木フォトライター)

 日没直後、明るさの残る西の空を背景にして「中橋」にあかりが灯ると、幻想的な風景が現れた。

 建築家の隈研吾氏が手掛けた「中橋」は、宮城県南三陸町の志津川地区にある。左岸側の「さんさん商店街」と右岸側の「南三陸町震災復興祈念公園」をつなぐ、同地区復興を象徴する橋なのだ。

設計:隈研吾建築都市設計事務所/パシフィックコンサルタンツ(株)

 円管を用いた鋼トラス橋で、地元産の杉をふんだんに使ったダブルデッキ構造となっている。

 2020年10月12日には、南三陸町震災復興祈念公園全体の開園式と中橋開通式が行われた。当時は生木の薄茶色だった橋も、2年が経ち周囲の景観になじむ落ち着いた色合いに変化していた。

下層のデッキへのアプローチは、木製の高欄支柱が並ぶ

 アプローチに誘われ、まずは下のデッキを歩いてみる。

2000を超える部材が組み合わされており、機能美の中に繊細さを感じさせる