ダルマ駅のひとつ、鵜苫駅。2017年に撮影されたものだが、現在すでになくなっている(Mister0124, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

(牧村あきこ:土木フォトライター)

 貨車を改造した駅舎を「ダルマ駅」と呼ぶ。貨車が本来とは異なる用途に使われているという違和感がある一方で、いい感じの“古さ”を感じさせる情緒もある。

 私がダルマ駅に興味を持つきっかけになったのが冒頭の写真、JR日高本線の鵜苫駅(うとま、北海道様似町)だ。ぼろぼろになった塗装と車体に描かれた大きなタコの絵。もちろん閑散路線の悲哀も十分に感じるのだが、それにもかかわらず精一杯頑張っているタコの瞳が私の心を打ち抜いたのである。

 いつか必ず見に行きたいと思っていた鵜苫のダルマ駅。しかし、2021年4月に姿を消してしまった。

 一時期ダルマ駅は全国にわりとあったのだが、最近は急速に姿を消していて、現存するのはおそらく30以下。完全になくなってしまう前に見るならどこに行けばいいか。以下で紹介する。

 ダルマ駅の誕生理由や注目ポイントはこちらの前編で。
情緒あふれる“ダルマ駅”が消えていく!ところでダルマ駅ってなに?
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72874

現存するダルマ駅はおそらく29

 2022年12月現在、ダルマ駅はどのくらいあるのか。漏れがあるかもしれないが、調べた限りでは北海道に18駅(表1)、それ以外に11駅(表2)の、合計29駅が現存している。

表1 北海道にあるダルマ駅(道南いさりび鉄道は第三セクター、それ以外はJR)
表2 北海道以外にあるダルマ駅(しなの鉄道と錦川鉄道は第三セクター、それ以外はJR)。御来屋と清流新岩国は待合室として利用

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