ダルマ駅を詳しく調べている作家・医師の笹田昌宏氏の著作『ダルマ駅へ行こう!』(2007年、小学館文庫)を参考に調べたところ、2006年頃から2021年までの15年間で、消えてしまったダルマ駅は北海道で21駅(表3)、北海道以外で13駅(表4)の、合計34駅があった。

表3 北海道にあり廃止されたダルマ駅
表4 北海道以外にあり廃止されたダルマ駅

 北海道以外のダルマ駅は、いずれも2006~2009年ごろに新しい駅舎に建て替えられている。

 注目してほしいのは北海道のダルマ駅だ。いずれも駅自体が廃止されてしまったのだ。しかも、2014~2021年というごく最近のことである。

 乗降者数の少なさから廃駅になったものもあるが、廃線と運命をともにしたダルマ駅も多い。留萌本線、札沼線、江差線は一部区間の廃線に伴うものだ(残りの江差線はその後に第三セクター化)。冒頭で紹介した鵜苫駅のある日高本線は、2015年1月に発生した高波で被災し、実に路線の8割にあたる区間(鵡川駅-様似駅間)が廃線となってしまったのだ。

 現存しているものでも、とくに函館本線の3駅(尾白内、中ノ沢、二股)は、北海道新幹線の札幌延伸でどうなってしまうか、将来が見通せない。

 これを見ると、北海道の鉄道路線(JR北海道)が苦境に陥っていることが如実にわかるだろう。地方の秘境路線、特に広大な大地を走る北海道の地では、路線の消滅危機が現在進行形で待ったなしの状態なのだと強く感じる。「赤字の地方鉄道をどうしていくか」という議論がこのところ話題になっているが、ダルマ駅もその渦中にあるのだ。