
初代はクォーツムーブメント
スイス時計の老舗ジラール・ペルゴと英国が誇るラグジュアリースポーツカー、アストンマーティンのコラボレーションが生まれたのが2021年のこと。今年もあらたなコラボモデル『ロレアート クロノグラフアストンマーティン エディション』が発表された。
ジラール・ペルゴの代表作『ロレアート』は1975年に誕生したラグジュアリースポーツウォッチ。ケースからブレスレットまで一体化されたデザインに、当時の主流であったクオーツムーブメントを搭載しての登場だった。つまり、薄型で。
初代モデルから受け継がれるデザインを継承しながら、その後、自動巻きムーブメントを搭載し人気モデルとなり、アメリカズカップモデルなどのコラボレートモデルやセラミック素材を多用したもの、オープンワーク化したスケルトン仕様など、バリエーション豊富なラインナップを揃えてきた。
新しいところでは、ジラール・ペルゴ愛好家の熱い要望を受け、「セージグリーン」と「ミッドナイトブルー」というふたつの『ロレアート』38㎜のモデルがある。多くの人々に愛された初代モデルから受け継がれるデザインの特徴を継承し、このモデルのために最適化された自社製ムーブメントが搭載されている。
そして25年、またしても高級スポーツカー、アストンマーティンとののコラボウォッチが登場したのだ。
時計製造のペイント基準は自動車よりも厳格
アストンマーティンのアイコンである英国のスポーツカーを彩ってきた虹色にインスピレーションを得て、通常は自動車に用いられるペイントを採用してのものだが、成功するまでにまったく新しく、非常に複雑な工程を必要とした。
製造には14もの工程を必要とし、その色合いをつくりだすにはペイントをごく薄く15層に塗り重ね、さらに2回の加熱処理を施している。時計製造のペイントに関する基準は自動車分野における基準よりはるかに厳格で、全体の美観を損なう可能性のある残留粒子を取り除くために長時間のろ過作業がとなる。

グリーンは英国のスポーツカーの代名詞であり、公道でもサーキットでも、長年にわたってアストンマーティンを象徴する数々の車両を彩ってきたもので、今日では、この英国ブランドの愛好家の間で最も人気のあるカラーとなっている。
ジラール・ペルゴは今回、アストンマーティンが好む虹色を帯びたグリーンを取り入れて独自のカラーを作り上げている。その結果、光との繊細な相互作用によって、見る角度によりグリーンからオレンジへと移り変わるダイナミックなダイヤルが誕生している。このように、1975年の誕生以来、『ロレアート』は常に形状と仕上げの巧みな組み合わせによって時計愛好家を魅了し、際立つ存在であり続けてきたのである。
軽量化もこのモデルのポイント
ハイパフォーマンスカー製造の豊かな歴史を持つアストンマーティンは、車両の軽量化の重要性を明確に認識している。長年にわたり、軽量素材だけでなく、チューブを使用する製造法などの独自のノウハウにより、すばらしいパフォーマンスを発揮する、強靭で(ハンドリングに不可欠な)剛性を備えた軽量なスポーツカーを生み出してきた。
同様にジラール・ペルゴもフォージドカーボンをはじめとした軽量素材を使用したモデルを製造してきた歴史がある。この『ロレアート クロノグラフ アストンマーティン エディション』には、軽量化するためにグレード5チタンが選ばれている。チタンは、軽量で強靭、高剛性、耐食性、非磁性、低アレルギー性といった特性を持つ金属で、いずれも時計製造に役立つ特性を有した素材なので、軽量化に加え、過酷な状況にも耐えうる条件としては最適なものである。

また心臓部には、機能はもちろん、ブリッジにコート・ド・ジュネーブ装飾、面取り、鏡面仕上げのネジ、地板のペルラージュ仕上げ、エングレービングされた金箔文字などが施されたCal.GP0300が搭載されている。ラ・ショー・ド・フォンの自社工場で製造されたこのムーブメントは、コート・ド・ジュネーブ装飾が施されたローターが特徴だ。さらに、この美しきムーブメントは、アストンマーティンのロゴが刻まれたサファイアクリスタルのケースバックから眺めることができる。
いずれもジラール・ペルゴの妥協なき基準に従って実施された最高級の水準となっている。