2017年10月の衆議院選挙で街頭演説をする安倍晋三首相(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 昨年の7月8日に安倍晋三元首相が遊説中に銃撃されて死亡してから1年が経つ。この間、日本の政治はどのように変わったのであろうか。

事件から1年

 容疑者は、母親が統一教会の信者で多額の寄付をして家庭が破壊されたという恨みから、この宗教団体と安倍元首相が緊密な関係があると考え、犯行に至った。

 事件直後の10日に投開票が行われた参議院選挙は、自民党の圧勝で終わった。選挙区45議席、比例代表18議席、合計63議席で、単独で改選議席125の過半数を制した。

 選挙区の投票率は52.05%と、前回を3.25%上回っている。低投票率となることが懸念されたが、投票日の2日前に起こった安倍元首相銃撃事件が有権者の足を投票所に運ばせた。

 安倍元首相の暗殺は、多くの無党派層が自民党に投票する誘因となったようである。時事通信社の出口調査によれば、無党派層の比例代表投票先のトップは自民党(26%)である。選挙は、無党派層の動きが大きな影響を及ぼす。「弔い合戦」的な同情票が自民党を利したのである。