(フォトグラファー:橋本 昇)
“安倍晋三氏撃たれ心肺停止”突然スマホの速報で伝えられたニュース。日本中に衝撃が走った。
そして数時間後、安倍元総理は帰らぬ人となった。
政治家はしばしば「私は命を賭けて…!」という発言をするが、まさかその言葉通りになるとは誰も想像していない。今の日本は政情不安定な国ではないからだ。
祖父・岸信介も暴漢に襲われたことが
しかし政治家には常に身の危険が伴うのも確かだ。
かつて戦前の政情不安定な時代には時の総理が殺害されるという事件も起こった。戦後では私の記憶にあるところでは1960年、安倍氏の祖父にあたる岸信介総理が、辞意表明後、右翼に太腿を刺されて重傷を負った事件。同年、社会党の浅沼稲次郎委員長が演説中に17歳の青年に刺されて即死した事件。1975年、三木武夫総理が大日本愛国党員に頬を拳で殴られた事件。1990年、本島等長崎市長が右翼の男に拳銃で撃たれ重傷を負った事件。2002年、民主党の衆議院議員・石井紘基氏が自宅前で刺された死亡した事件があった。
また、2006年には自民党の加藤紘一衆議院議員が、右翼団体の男に、山形県内の実家を全焼させられた。加藤氏宅に火を放ち、そこで割腹自殺を図りながらも一命をとりとめた男は、加藤氏の靖国神社参拝に関する発言に抗議したかったのだという。
政治家は「命懸け」の仕事
政治家は与野党に関わらず、常に「言葉での脅し」だけではなく、拳銃や刃物によるテロルの危険にさらされている。まさに「命を賭けた」仕事なのだ。
安倍晋三という政治家は、政界のサラブレッドとして若い頃から常に注目を集めてきた。人気も高かった。二度目の総理として長期政権を築いた時代も、良くも悪くも人々の関心を集めた政治家だった。
その人生の足跡の一端を振り返りながら、静かに冥福を祈りたい。