硫黄島の滑走路にひざまずき、悲痛な表情を見せる安倍首相。河野海上幕僚長(左手前)が声をかける(肩書は当時、写真:河野氏提供)

(河野克俊:元統合幕僚長)

安倍氏と歩んだ元統幕長の虚無感

 奈良の近鉄西大寺駅前で選挙応援中の安倍元総理が凶弾に倒れられて、1年が経った。

 事件発生当時、私は講演のため大阪にいた。講演会関係者の方々との昼食の前だった。

 このニュースが飛び込んできた後も、根拠はなかったが、なぜか安倍元総理は無事だ、いや無事のはずだという思いでいた。

 今思えば、それはやはり安倍元総理のいない日本が想像できなかった故だと思う。それくらい安倍元総理の存在は大きかったということだ。

 その後悲観的なニュースが入るようになり、命だけは取り留めてもらいたいとの願いも空しく、ご逝去された。

 当時は、心の空白をどのように埋めるかさえ思い浮かばない状況だった。