公に被害を伝えていない人はまだいる

アザール:私が最初にジャニー喜多川氏について知ったのは、彼が亡くなった時でした。BBCのチームで訃報の報道を見ていきました。その中にいくつかの週刊文春の記事を見つけたのです。

 この話が長らく手つかずにされてきたことを私たちは話しました。人々はそのことを知っているのに、手を付けないし報じない。

 日本人ではない私が本件を報じるのが正しいのか、このことは迷いました。しかし、私は性的虐待の被害者や性風俗産業で生きる人を取材してきた。人身売買による性的搾取も長年取材してきた。だから、私は本件を取材するには適任だと判断されたのです。

 そこで、東京にいる人も含めチームを構成しました。日本にルーツを持つ英国人で、日本のことを広く取材してきた監督をチームに入れた。

 そのようにして調査を開始したのですが、コロナによる渡航禁止がありました。本当は2020年から取材を始める予定でしたが、渡航禁止令が解除されるまで待たねばならず、結果として2022年からこの映画を撮り始めたのです。

──英国でこのドキュメンタリーを見た人の反応はどうでしたか。