私が日本人でなかったというメリット

アザール:たくさんの視聴者から反応が寄せられました。本作は国際的にも放映された。米国や欧州などの複数の放送局が放映しました。

 2種類の反応があったように思います。一般的には高評価で、このことはもっと議論されるべきだという声です。

 死後に、多数の児童への性的虐待が報じられた英国のテレビ司会者ジミー・サヴィルとの比較もありました。子どもへの性的虐待があったと言われるマイケル・ジャクソンとの比較の声もありました。

 同時に、カナダや米国や欧州のいろんな国で育った日本人の方からも、SNSやEメールでたくさんメッセージをもらいました。彼らは本件がちゃんと日本で議論されることを強く望んでいます。こういった声にはとても励まされました。

 私が日本人でなかったことも、ある意味かえって良かったと思います。被害を語った証言者たちは、日本のメディアに語るよりも私に語る方が気が楽で、羞恥心も少なく感じることができる。日本の厳しい道義的な感覚の外に私がいるからです。

 このことも是非伝えておきたいのですが、まだ公に被害のことを語っていない人が私に実情を語ってくれました。私はこういう方々に寄り添うし、彼らを尊敬します。このような体験を外に向かって語るのはたいへん勇敢です。

 性被害を受けたけれど、まだそのことを外に語る準備のできていない人に伝えたい。心の準備ができたら誰かに話してほしい。これは、あなた自身を健康にするためです。たとえ、外に向かって語れなくても、カウンセラーや信頼できる人に話してください。あなた自身を守るために大切なことです。

──日本のジャニーズのファンなどから批判的な反応もありましたか?