日本では国交省とANA、JALが利用促進に積極的だが
近年、日本政府はプライベートジェットの飛行を支援する立場で専用の駐機場を民間空港の中に拡充する方針を表明している。そしてANAとJALもそれぞれビジネスジェットのチャーター便を運航する部門を持っている。
ANAでは2018年に双日と共同でANAビジネスジェットを設立し、セールスポイントとして「移動にかかる時間の短縮、自由で柔軟なスケジュール設定、秘匿性の高いプライベート空間、ANAグループならではの安全・安心、感染リスクを抑えた移動手段」を掲げている。料金は東京からニューヨークまで13席の機材で約6000万円、同じくハワイまでは約4000万円という価格設定である。
JALでは利用目的によって運航会社を選定し提案するという形をとり、JALでのマイルでの精算も可能としている。
一方、国(国土交通省)がプライベートジェットを促進している大きな目的は、着陸料等の直接収入を増やすこととインバウンドによる経済効果を拡大することである。
しかし、欧州を中心に広がる「飛び恥」問題にどう答えるのか?
日本の国土の狭さや新幹線をはじめとする鉄道の高速化を考えれば、欧州とさほど変わらないはずであり、この問題に日本政府はどのように向かい合ってゆくのか注目される。
プライベートジェットは富裕層にとっては使い勝手も良いが、安全上のリスクも大きいことを知っておくべきであろう。あくまで個人的な意見であるが、筆者が大のファンでもある大谷選手にはプライベートジェットを願わくは使ってもらいたくない。安全上のリスクを少しでも減らすためにも民間航空の定期便またはしっかりとしたエアラインのチャーター便をすすめたいと思っている。
ここまで言い切るのは、筆者自身がボーイング747やエンブラエルF170で多くの緊急事態や想定外のトラブルに遭ってきた経験からだ。オペレーションや整備に万全の体制をとり、非常時のバックアップ手段を十分に備えているジェット旅客機を使うエアラインでも、安全性を高いレベルに維持することに多大な労力とコストをかけているのである。