豪快に笑い飛ばしながら話す松崎氏に聞きたかった質問をした。
「ところで、松崎さんは革マル派の最高幹部なのでしょう?」
彼は顔を一瞬曇らせたが
「まーそんな若い頃もあったようだけど……」
と、ニヤニヤ笑いながらごまかした。
「はっきりと否定はされないのですか?」
「まー、人それぞれの受けとりようですからね」
否定も肯定もしないところが人たらしといわれる彼らしい。
なぜ民営化賛成に転じたのか
そして、話は民営化に戻った。
「新幹線は儲けているけど他はひどいもんだよ。地方のローカル線はガラガラで、5両編成で運行して乗客10名足らずって線もいっぱいある。油や石炭をぶち込むだけ損が出る。当然、これじゃあいかんっていうことになる」
「でも、そうなると国鉄当局の言いなりじゃありませんか? さらに御用組合の鉄労と組むそうですが、動労組合員は意志一致しているんですか?」
「青年部などの一部には反対があるようだけど、反対していたら民営化後の会社には移れないよ。移れたら、また地道な運動をやって行けばいい。とにかく組合員が全員新会社に移れるかどうかの責任が僕にはある。国労や動労千葉のように頭の固いことばかりではダメだ。案外自民党の中にも話のわかる連中もいるんですよ」
そして、「まッそれよりも橋本さん‼ 一杯やりましょう。今日はここで、結婚式の打ち上げをやっているんですよ。さッ行きましょう」
と、私を会場に促した。
会場はやんやの騒ぎの最中だった。松崎委員長が姿を現したのでさらに会場はヒートアップした。ある組合員は動労青年部と書いたヘルメットを被り、「動労青年部は戦うぞ!」と叫んでいた。
松崎氏は出された枡酒をグビグビ飲み干した。そして「今度、飲み屋で一杯やりましょう」
と、私の肩をポンと叩いた。