太平洋上で任務にあたっている米空母ニミッツに着艦する「オスプレイ」(7月17日、米海軍のサイトより)

着発艦できる回数は米空母の数分の1

 中国海軍の「山東」空母打撃群は、今年(2024年)年7月9日(火)~18日(木)までの10日間、西太平洋(フィリピン海)で機動展開訓練を行った。

 統合幕僚監部のプレスリリースによると、海上自衛隊(海自)の護衛艦がその活動の終始を通じて警戒監視・情報収集に当った。

 また、航空自衛隊の戦闘機が艦載戦闘機に対し緊急発進するなどの対応を行った。

 海自の警戒監視・情報収集の結果を分析すると、米国と中国の空母には、いまだに大きな戦力格差があることが明らかだ。

 当該訓練期間に、中国海軍の空母山東の艦載戦闘機および艦載ヘリによる発着艦について、7月9日(火)~15日(月)および17日(水)~18日(木)までの間に確認された実績は計420回であった。

(なお、7月16日の情報収集の結果が説明されていない理由については明らかにされていない)

 今回、海自の護衛艦が警戒監視した10日間のうち9日間で戦闘機の出撃回数は計260回で、1日平均28.8回だった。

 昨年(2023年)10月と11月に山東空母打撃群が西太平洋(フィリピン海)に機動展開した際、12日間の訓練期間で戦闘機の出撃回数は計420回で、1日平均35回だった。

 これを踏まえると、空母山東からの艦載戦闘機の出撃回数は、1日平均概ね30回から多くても40回程度とみることができよう。

 一方、米空母(主力はニミッツ級)の1日出撃回数は、概ね120回程度といわれている。

 空母の真価は、まさに艦載機の攻撃能力に掛かっており、1日出撃回数だけから見ても、米中の空母には「3対1」ないし「4対1」の戦力格差が見て取れる。

 そこで、米中の空母の能力についてその要点を比較してみる。