雪風は丹陽となった後も、相変わらずというべきか、複数回の実戦を含め運用されながら沈むことなく活躍し続けました。しかし艦の老朽化に伴い1965年に退役となると、その後は練習艦としてしばらく使用されました。
退役後、日本の元乗組員らはその活躍を懐かしみ、日本に返還させようという活動も行われていました。しかし1969年の台風による浸水を受け、日本に返還されることなく、最後は台湾で解体されてしまいました。
なお当時、日本側には詳細な連絡がなく、解体したことだけ事後に通知されたことから、「雪風は本当はまだ生き残っている」などといった「雪風生存説」も流れていたそうです。雪風が当時どれだけ惜しまれていたかがうかがえるエピソードです。
戦後、人気漫画家として活躍した水木しげるは、以上のように出征時と引揚時に乗った船が2隻とも著名な幸運艦でした。2隻の強運ぶりには驚かされますが、水木しげる自身も、類まれな強運に恵まれていた人物だったということなのでしょう。