小田原城(出所:写真AC)

(花園 祐:中国・上海在住ジャーナリスト)

 上杉謙信(うえすぎ・けんしん、1530~1578年)といえば、「戦国時代最強」との呼び声の高い、この時代の中でも屈指の実力と人気を兼ね備えた武将です。

 その上杉謙信に対して幾度となく背信を繰り返しながら、大名の命脈を保ち続けた武将がいたことをご存じでしょうか。

 その武将の名は、佐野昌綱(さの・まさつな、1529~1574年)。ご当地ラーメンの「佐野ラーメン」で有名な栃木県佐野市を支配していた武将です。

 今回は、稀代の名将を裏切り続けた、ある意味で稀代の反逆者ともいえる佐野昌綱の生涯について紹介したいと思います。なお上杉謙信は一生の中で長尾景虎、上杉政虎、上杉輝虎などさまざまな名前を名乗っていますが、本稿では「上杉謙信」で統一します。

天王山昌綱院大庵寺(栃木県佐野市)が所蔵する佐野昌綱の肖像画(狩野松栄筆)