(舛添 要一:国際政治学者)
アメリカ政府は、3月14日、黒海の上空で、米軍の無人機MQ9とロシア軍の戦闘機の妨害行為を受け、衝突したため、墜落させたと発表した。ロシア政府は、戦闘機は無人機と接触していないと反論している。
この無人機はミサイルの搭載も可能であるため、ロシア側も神経質になっており、緊急発進したようだ。
「ロシアの基盤は彼らが考えているより強固だ」
その後、米露両国の国防大臣が電話で会談し、この件を抑制的に取り扱うこと、また対話を継続することを確認している。
そのため、重大な結果をもたらすようなことにはならないであろうが、ウクライナ周辺では、ロシアとNATOとの間でいつでも直接的な軍事衝突が起こる可能性があることを再認識させられたのである。
同じ14日、プーチン大統領は、極東のブリヤート共和国を訪問し、ヘリコプター製造工場を視察した。
その際に、ウクライナ侵攻を正当化し、「これは単なる地政学的な戦いではなく、国家の存続をかけた戦いだ。敵は、われわれを侮辱し、分裂させようとしてきた。国の発展や子どもたちの将来をかけた戦いとなっている」と述べた。
さらに、「敵はわれわれの経済が崩壊することを期待したが、そうはならなかった。ロシアの安定の基盤は彼らが考えているより強固だったということだ」と付言している。