ロシア軍のT-72戦車(写真:TASS/アフロ)

 2年目に突入したウクライナ戦争は、無謀な作戦でロシア侵略軍が想定外の大損害を被り続けている。旧ソ連時代から「最強」の誉れ高い戦車部隊は、ウクライナ軍の痛打で各所に戦車・装甲車の「鉄くずの山」を築いており、さしものロシア・プーチン大統領も頭が痛いはずだ。

 今年2月にはウクライナ南東部のウグレダルで最大の戦車戦が起きたが、ここでもロシア軍は戦車・装甲車など戦闘車両を何と130台以上も損失、史上希に見る「負けっぷり」である。このペースで消耗が続けば同軍の戦闘車両の在庫はあと数年しかもたないとの見方もあるほどだ。

 しかし、一部では「冷戦中に製造したおびただしいほどの戦車・装甲車が、ウラル山脈などに設けた核攻撃に耐えられる地下深くのガレージに保管されている」と噂されている。

 死蔵戦車をレストア(補修・再生)して甦らせたほうが、新車のMBT(主力戦車)を製造するよりも「手間・ヒマ・コスト」がかからず、素早く戦力化できる。仮に破壊されても減価償却がとっくに終わったような代物なので、痛くもかゆくもないとの発想のようだ。まさにプーチン大統領の“隠し財産”であり、「ゾンビ戦車」 といえる。

 では、果たしてその台数とはどれほどなのか──。英シンクタンク「国際戦略研究所」(IISS)が毎年発行する『ミリタリーバランス(ミリバラ)』を基に1つのシナリオ・可能性を大胆に推理してみたい。