欧米戦車はウクライナに戦勝呼ぶか?
2022年2月24日にロシアによるウクライナ侵攻が開始され、縦隊の機甲科部隊がキーウ目指して突進を開始した時、戦車はもう時代遅れではないかという議論が噴出した。
現代の戦闘においては、ドローンや自動追尾機能付加ミサイルの運用に大きく影響されるため、というのがその理由であった。
しかし、この1年間の戦闘からウクライナのような戦場では戦車を中心とする装甲車両が戦線の形勢を逆転させる手段であることが明確になってきている。
このため、米国、英国、ドイツなどが自国保有の戦車をウクライナへ本格的に供給し始めたのである。
一部では供給戦車を使った訓練が隣国ポーランドで開始されたというニュースも見聞される昨今である。今後の戦況推移にどのような影響がみられるのか述べてみたい。
まず供給戦車の主要性能を見ると、次の通りだ。
●「M1A1」(米):120ミリ44口径滑腔砲、重量64トン、乗員4人、1500馬力ガスタービン
●「チャレンジャー」(英):120ミリ55口径旋条砲、乗員4人、1200馬力ディーゼル
●「レオパルト」(独):120ミリ55口径滑腔砲、重量62トン、乗員4人、1500馬力ディーゼル
他方ウクライナとロシアが運用している戦車の主要性能は次の通りである。
●「T-72」(ロシア・ウクライナ):125ミリ51口径滑腔砲、重量41.5トン、乗員3人、1200馬力ディーゼル、自動装填方式
●「T-90」(ロシア):125ミリ51口径滑腔砲、重量46.7トン、乗員3人、1200馬力ディーゼル、自動装填方式
●「T-80」(ロシア):125ミリ51口径滑腔砲、重量42.5トン、乗員3人、1200馬力ガスタービン、自動装填方式
ウクライナに供給される戦車とウクライナが保有する戦車の大きな違いは大きさ(車長、車幅、車高)、重量、砲口径、乗員数、さらには未記述ではあるが射撃統制装置などが挙げられる。
この違いが事後の供給戦車の運用に大きく影響してくる。