(英エコノミスト誌 2023年3月4日号)

クレムリンでプーチン大統領と会談した中国の外交トップ、王毅氏(2月22日、写真:ロイター/アフロ)

◆特別公開中◆
(*)本記事は、プレミアム会員向けの特別記事ですが、期間限定で特別公開しています。(この機会に、JBpressのすべての記事をお読みいただける「
JBpressプレミアム会員」のご登録をぜひお願いいたします。)

だが、中国政府首脳は今のところは慎重だ。

 ロシアは数十年もの間、中国に武器を提供してきた。2001~10年には平均で毎年20億ドル相当の武器を送り、2015年には70億ドルもの大型商談を獲得している。

 今では立場が逆転した。

 手際の悪いウクライナ侵攻の最中に、ロシアは1500両以上の戦車をはじめ、計9400を超える数の装備を失った。弾薬もひどく不足している。

 米国政府によると、中国がロシアに武器を供給すべきか否かを検討しているという情報がある。

 実行されれば戦争の展開が変わるかもしれない。中国と欧米との関係におけるさらに深刻な危機の引き金を引くことにもなるだろう。

攻撃用ドローンや榴弾を供与か

 開戦間もないころから、ロシアは武器の供給を中国に繰り返し要請してきた。

 中国はこれを繰り返し断り、ヘルメットなど人を殺さない物資や、航空機の部品など軍民両用の品物を提供するにとどめてきた。

 中国がどんなことを検討していると米国政府高官が見ているのか、その詳細は明らかにされていない。

 だが、ドイツの有力誌シュピーゲルは2月23日、ロシア軍は攻撃用ドローン(無人機)を100機購入することについて中国企業の西安冰果智能航空科技と交渉していると報じた。

 ロシアは攻撃用ドローンを前線で使ったことがあり、10月以降はウクライナ送電網に対するたびたびの攻撃でも使用している。

 シュピーゲルの報道の翌日には米紙ワシントン・ポストが、中国が榴弾(りゅうだん)の供給を検討中だという米国当局者の発言を引用した。この戦争でトップクラスの戦果を挙げている兵器だ。