ソ連時代からの在庫が枯渇

 ロシアとウクライナはともに旧ソ連規格の口径122ミリおよび口径152ミリの榴弾を使用しており、その古い在庫を世界中で探し回ってきた。

 だが、ロシアには提供を要請できる友好国がなくなりつつある。

 ベラルーシの在庫は底をついた。北朝鮮もいくらか提供しているが、自国の在庫が空にならないよう気をつけている。イランには、提供できる在庫がほとんどない。

 中国には、ソ連規格と互換性を持つ榴弾がある。

 米国防総省国防情報局にかつて籍を置いていたロニー・ヘンリー氏によれば、中国の在庫の規模や品質のことはほとんど知られていない。

 だが、ロシアに忍び寄る榴弾不足の危機を回避するには十分だと見て間違いない。

 戦力の消耗が重要な要因になり、砲撃の相対的な割合が決定的な意味を持つ場面も時折見られる紛争において、これは大きな違いをもたらす。

 双方の防衛産業が武器の増産に奮闘している。

武器輸出大国としてのし上がる中国

 中国は、形勢を傾けられるほど大きな影響力を持つ。

 同国は世界第4位の武器輸出国だ。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)がまとめた最新の世界兵器メーカーランキング100社には中国企業が8社も名を連ねている。

 それも7社が上位20社にランクインしており、これをしのぐ国は米国だけだ。近年は中国のトップクラスの企業が著しく売上高を伸ばしている(図参照)。

 今回の戦争は中国に、防衛面でのロシアとの関係をリセットし再調整する機会も与える可能性がある。

 中国は何年もの間、ロシアの軍事技術を輸入し、その大半でリバースエンジニアリングを行って模造品を作った。

 2017~21年には防衛関連の輸入の81%がロシアから来ていた。中国の最新ステルス戦闘機のエンジンもその一部だ。