弾き出されたロシアの“隠し財産”は1万2600台

 さらに突っ込んで「3万台」をベースに車種別に稼働可能な台数を大胆に推測してみたい。

 前述した1989年時のMBT数を参考に、まず比較的新しいT-72(約1万台)、T-80(約4000台)をそれぞれ「7掛け」し、さらに保存状態の良し悪しも考え無難なところで2台の“共食い”で1台、つまり「2コ1」で造るとすれば、「T-72約3500台」「T-80約1400台」となる。

 同様に古いが比較的大事に扱われていたT-64(約9700台)は「3コ1」と考え「約2300台」に、さらに半世紀以上昔のT-62(約1万1300台)、T-54/T-55(約1万9230台)はさらに状態が悪いので「4コ1」とし、それぞれ「約2000台」「約3400台」という値が弾き出される。そして、これらを総計すると、何と「1万2600台」という値が浮かび上がる。

 もちろんこれは仮説の1つで、実際はもっと多いかもしれないし、または全く存在しないかもしれない。さらには、「そもそも6万台超という値は旧ソ連の脅威を煽り予算獲得を目論んだ西側の軍産複合体や情報機関による“盛った数字”であてにならない」との見方もある。ただし少なくともロシアは「万単位」のMBTを捻り出す可能性がゼロではない、ということを心の片隅に置くべきだろう。