国際司法での争いになれば不利に働く可能性も

 つまり、この「解決策」に乗るということは、日本が自らの不法行為を認めるということにほかならないのです。

 今後、韓国で政権が変わり、この問題が国際司法の場に持ち込まれれば、日本が負ける可能性があるのです。下手をすれば、2015年の慰安婦合意よりも大きな国益の損壊につながりかねません。

 2018年10月30日、韓国の大法院(最高裁判所)が下した徴用工判決は、国際法違反であるとする見解があります。しかし、必ずしも、そうとは言い切れません。

 日本側は1965年の日韓請求権協定により、両国間の請求問題が「最終的かつ不可逆的」に解決されたという立場ですが、実際には、この立場はもろいものです。

 2018年の大法院判決は、1965年の日韓基本条約に付随する形で締結された「日韓請求権並びに経済協力協定」の合意内容を認めています。すなわち「日本が韓国に経済支援を行うことで、この協定の署名の日までの両国及び国民の間での請求権は完全かつ最終的に解決される」という合意を、判決はまず、認めているのです。

 その上で判決文は、日本の不法な植民地支配下でなされた強制動員への「慰謝料」としての請求権を認めるとしています。

尹政権による解決策発表後、韓国各地で抗議活動が開かれた(写真:Lee Jae-Won/アフロ)