なぜ「(日本は)盗っ人猛々しい」が出てきたのか

 2019年2月、当時の韓国国会の文喜相(ムン・ヒサン)議長は、天皇陛下について「戦争犯罪の主犯の人の息子」などと発言しました。

 記者から発言の撤回や謝罪をするつもりはあるかと問われたのに対し、「撤回や謝罪する考えはない」と答え、「謝罪すべき側(日本)がせずに、私に謝れとは何だ。盗っ人猛々しい」と言い放ちました。

 さらに、文氏は「戦争や人道に関連した犯罪には時効がない」と付言しています。文氏がこういう強硬発言をしたのには、根拠があるわけです。

2019年2月に天皇陛下(現在の上皇陛下)について「戦争犯罪の主犯の息子」と発言した韓国国会の文喜相議長(当時)(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 慰安婦問題については、日本政府や軍が組織的な人身売買行為を行った事実や証拠は存在しませんが、徴用工問題において、韓国側が主張している強制労働の事実がまったくないとは言い切れません。

 朝鮮現代史専門家の外村大・東京大学教授は、徴用工について実証的に強制性をうかがわせる記録(行政や軍の記録)の論証をしています。

 一方で、残念ながらと言うべきか、この外村教授の膨大な研究成果に対し、有効な反証ができている研究者は見当たりません。