実はロシアとの関係を冷静に見つめている中国

 欧米を中心とする主要国からの経済・金融制裁を受けて、ロシアが30年近くをかけて構築してきたヨーロッパとの間のサプライチェーンは瞬く間に寸断された。この事態を受けて、ロシアは中国を代表とする新興国との間でサプライチェーンの再構築を図る必要に迫られたが、それが実現するために中長期の時間を要することは明白である。

 中国の通関統計が物語る事実は、ウクライナ侵攻後、ロシアがヨーロッパからの輸入の減少を中国からの輸入の増加で代替したとしても、それはかなり限られたレベルの話だった可能性が高いということである。ゼロコロナ政策を堅持していた中国が、ロシアを支援する目的からロシア向けの輸出を強めた可能性は、極めて低いだろう。

 いわゆる並行輸入や、第三国を経由したルートでロシアが中国からモノを購入しているとして、その量もまた限定的と考えられる。例えば、香港の輸出総額に占めるロシア向け輸出の割合は、2022年1~11月期平均でわずか0.4%である。中央アジアを経由してロシアに輸出をしたとしても、その増加量もまた限定的なはずだ。

 中長期的に、ロシアと中国の貿易は増えていくと予想される。とはいえ、それは当面の間、中国が引き受ける化石燃料の輸入が増えていくかたちでの拡大となる。中国からロシアへの輸出が増えるとして、それは政治的な動機よりも経済的な要因に基づくことになる。中国は中国で、ロシアとの関係を冷静に見つめている。

(※寄稿はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)