この攻撃について、ウクライナのレズニコフ国防相は、「ウクライナには自衛の権利がある」と述べており、ロシアによるエネルギー・インフラへの攻撃に対する反撃だと位置づけている。逆に、プーチンは、インフラ破壊をクリミア大橋を爆破されたことへの報復としており、戦闘の停止にはほど遠い状況である。

エスカレーションの危機を孕むパトリオット供与

 ウクライナは欧米に対して地対空ミサイルの供与を求めており、アメリカはパトリオット供与を決定する方針を固めている。供与が決まれば、ドイツ領内の米軍基地でウクライナ兵に操作の訓練を行い、実戦配備する予定である。パトリオットは日本にも配備されている高性能の兵器である。この配備はウクライナの防空能力を一気に高めることになる。

 当然のことながら、ロシア側は猛反発しており、ウクライナ領内に配備される全てのパトリオットが攻撃対象となると警告している。

 パトリオットは迎撃用、自衛用の兵器だとしても、このような事態は戦争のエスカレーションに繋がり、「アメリカの代理戦争」の様相を色濃くさせる。

 G7やEUはウクライナへの支援を強化する方向で動いているが、国によって熱意に差があるし、いつまでも武器供与を続けられるわけではない。ロシアが発電施設などを攻撃しているのは、厳しい冬を利用して、ウクライナの戦意を砕くためである。

 一方で、ロシア軍の砲弾やロケット弾が枯渇しつつあるという観測も米軍から流れているが、その情報が正しいか否かは不明である。また、それがある程度当たっているとしても、ロシア軍の継戦能力が直ちに失われるかどうかも分からない。

 経済制裁によって、ミサイルなどの兵器製造に必要な半導体などの部品の調達に支障をきたしているという情報もあるが、制裁に参加していない中国やインドなどを経由して入手することも不可能ではなかろう。

 プーチンは、15日に戦略的開発・国家プロジェクト評議会をテレビ会議で開催し、「ご存知のように、ロシアに対して前例のない制裁攻撃が開始された。ロシア経済の破滅を狙った西側の目論見は失敗し、ロシア国民は団結と責任感を発揮した」と語っている。

 世界各地から発信される情報の信憑性、操作性については注意が必要である。