(国際ジャーナリスト・木村正人)
死者133人以上、負傷者140人以上
[ロンドン発]モスクワ郊外のコンサートホールで22日、迷彩服の4人が押し入り自動小銃を乱射、火を放った事件の死者は133人以上、負傷者は140人以上に達した。犠牲者はまだ瓦礫の下におり、さらに増える見通し。ロシア連邦保安局(FSB)は襲撃犯4人と他の7人を逮捕した。
過激派組織「イスラム国」(IS)は「キリスト教徒の大規模集会を襲撃し、数百人を殺傷した」との犯行声明を出した。得票率88%で再選したばかりのウラジーミル・プーチン露大統領は「ウクライナが逃亡を手助けする窓を用意している」と非難したが、キーウは関与を否定している。
米国家安全保障会議(NSC)のエイドリアン・ワトソン報道官は「米国はモスクワで計画されたテロ攻撃についてロシアと情報を共有した」と述べ、テロ対策でロシアに歩み寄る姿勢を見せた。米シンクタンク「戦争研究所」(ISW)は「ISが関与している可能性が非常に高い」と分析する。
ISWによると、アマク通信のようなISの広報機関は明確な教義や目的を定義し、資金調達を円滑に行うため、虚偽を主張するのはまれだ。声明を出す際は注意深く、高い信頼性を維持することに努める。広報の一貫性は組織への教義や目的の徹底と資金調達を容易にするからだ。