ルラ氏が勝利したブラジル大統領選。ボルソナロ氏の敗北に抗議したトラックドライバーが各地で道路を封鎖した(写真:AP/アフロ)

「あれ、こんなところでおじさんが働いてる……」

近年、非正規労働の現場でしばしば「おじさん」を見かける。しかも、いわゆるホワイトカラーの会社員が、派遣やアルバイトをしているケースが目につくのだ。45歳定年制、ジョブ型雇用、そしてコロナ──。中高年男性を取り巻く雇用状況が厳しさを増す中、副業を始めるおじさんたちの、たくましくもどこか悲壮感の漂う姿をリポートする。

(若月 澪子:フリーライター)

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「都落ち」した広告デザイナーおじさん

 ブラジル大統領選で、「ブラジルのトランプ」ことボルソナロ氏が敗北し、元大統領のルラ氏が当選した。

 日本国内でも、ブラジル人が多く暮らす愛知県、静岡県浜松市、群馬県大泉町などには大統領選の投票所が設けられ、在日ブラジル人が投票を行っている。日本で暮らすブラジル人は、およそ20万人(2021年12月現在)。日本国内の投票では、現地とは反対にボルソナロ氏が圧勝だったらしい。

 今回は、そんなブラジル人の住む町にあるパチンコ台の製造工場で、ブラジル人に混じって副業バイトをしているQさん(52)のお話。

 そもそもQさんは、ブラジルとは縁もゆかりもない。

 Qさんは長年、大手企業の広告デザインを手掛けてきたデザイナーだ。清潔感のある白トレーナーに、小粋なハンチング帽をかぶるイケオジ(イケているおやじ)で、「広告デザイナー」という肩書がぴったりな、ギョーカイ臭を漂わすおじさんだ。

 そんなQさんが、なぜ畑違いの職場で、ブラジル人に囲まれて働いているのか。

ブラジル人が多く暮らす群馬県大泉町。バーでダンスを踊る女性(写真:AP/アフロ)